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「魔の川」、「死の谷」、「ダーウィンの海」

●高松の香川大学で開かれた園芸学会の公開シンポジウムで、おもしろいお話しを聞いた。果樹試験場OBの矢野昌充博士の研究費の受益者負担の考えに関基づく活動についての発表であった。これまで国の農業研究は、ほとんどが税金によってまかなわれていた。しかし、近年の財政事情によって、研究費の確保が難しくなりつつあり、産業規模の受益者である生産者団体や食品業者などを中心に研究費を出していただき、効率的な研究遂行を行おうという考えである。私はこの考えに感銘を受けた。農業分やというのは、すぐに補助金に頼るところがある。1に補助金、2に補助金である。それが、今このような考え方が生まれていることに、自助の精神を感じ、将来に光を感じることが出来た。
●矢野さんの発表では、基礎研究と応用技術との間には、「魔の川」という障壁があり、応用技術と事業化との間には「死の谷」という障壁があるという。私ははじめて聞いた言葉であったので、ネットでいろいろ検索した結果、この言葉は、数年前から、使われはじめたようである。工業分野の知人に聞いたところ、この言葉をすでに知っていたので、さすが競争の激しい工業界と感心したところである。
●この言葉、研究成果が産業化するまでの過程に存在する障壁を意味し「魔の川」「死の谷」「ダーウィンの海」の3点セットで使われている。自分なりに、図に整理してみた。これらの言葉は知らなかったが、研究所時代の自分は「魔の川」に橋を架けることに一生懸命であったように思う。そして自分なりに満足できる1つ目の橋を架けることが出来た。そして今挑戦していること、それは、「死の谷」に橋を架けること。やっぱり、言葉通り橋を架けるのは難しい。しかし、私は、「ブリッジ・ビルダー」何とかして橋を架けたい。そう考え、試行錯誤の毎日を過ごしている。



※経営プロセス改革アソシエイツhttp://www.process-club.com/00submenu/02submenu/22/22.html
を参考に作図

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■コメント (1)

八木健吉:

繊維技術士の八木健吉と申します。
9月に繊維系の大学院生に研究開発、事業化に関する講演を予定しているのですが、ダーウィンの海に関する貴作図がとても分かり易く良く出来ています。この2つの図を使わせて頂きたく思いますのでご承諾願えませんでしょうか。



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2007年10月05日 21:16に投稿されたエントリーのページです。

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