●プロ野球選手とプロ野球ファン、共通するのは、両者ともルールに詳しく野球が好きなこと。相違点は、野球がプレーヤーとしての立場と応援する立場。
●農業の現場にもにたような現象があることに気づいた。農業に夢を抱いてジャグロンズの門を叩く若者の中には、農業ファンが思いのほか多いのだ。農業が好きでどうしてもやりたいと願って門戸を叩く。しかし、鍬(クワ)もまともに使えない、トラクターに乗せると遊園地にでも来たかのような喜びよう。ところが道具としてトラクターを乗りこなすことが出来ずにすぐに壊してしまう。
●農業を志して、農業を生業とするには、覚悟がいる。農業で生きるということはプロ野球選手になることと同じである。これからは競争の時代。だからこそ「プロ野球選手」でなければならないし、プロ根性がなければやっていけない。
●農業生産法人のスタッフとして働くのだって、同じこと、遊園地に来るくらいの気持ち出来てもらっては困る。鍬が使えなかったら、早起きしてでも練習すべきだし、紐が結べなかったら夜なべしてでも練習すべきだ。
●大学の農学部や高校の農業科で勉強しても、そのほとんどは農業ファンになるくらいが良いところ。プレーヤーとしての鍛錬がなっていない。
●仕事が出来ないのに出来ると思っている節がある「にわか農業マニア」にも困ったもの。流れ作業でひたすら頑張ればいい現場でもないのだ。
●農の現場でプロのプレーヤーとして働いてもらうための第一歩は、出来ることからルーティンワークをこなして、現場のプロになってもらうこと。あるものは毎日草刈りの技術を磨き、効率よく仕事が出来る環境を整えること。またあるものはコツコツお客様のところに足を運び、生産現場で採れた商品の情報ををお客様に伝えること。今、学卒の2人の若手は、毎日の「キャッチボール」と「素振り」を意識して農の現場の「プロ」を目指して頑張っている。
●私の目指す理想の日本の農業像、それはプロのプレーヤーが、現場を引っ張って行く農業である。40代の私は、今、農業の現場で選手兼監督としてプレーしているが、若手のスタッフには良い選手に育ってほしいし、その先は良い監督になってほしいと願って毎日を精進している。