第2回 研修生の質(その1)「モチベーション」と「質問力」
●@「モチベーション」 これまでジャグロンズの農業現場にやってくる研修生は、みんな農業に従事することに対するモチベーションが高い人たちであった。また、そのほとんどが大学卒業者以上の学歴の人ばかりであった。しかし、モチベーションは人によって変化する、モチベーションをいかに保てるかは、その他の要素と複雑に絡み合っている。連載の最後に、この複雑に絡んでいるものをひもといて見せたい。
●A「質問力」 質問力は、研修現場では、大きな素養の一つである。これまでのわたしの経験では、研修現場での研修生の反応として、(@)全く質問をしない人(できない人)と(A)頻繁に質問をしてくる人の2タイプに分けることができる。さらに後者は、同じ質問を繰り返すタイプ(A-1)とそうでないタイプ(A-2)に大別できる。同じ質問を繰り返すタイプは、記憶力が極端に弱いタイプ(A-1-1)か質問の目的が、単なる時候の挨拶のようなコミュニケーションの一つとして考えているタイプ(A-1-2)である。このような繰り返しの多いタイプは、高校や大学などの勉強では結構なことだが、仕事の場では、あまり歓迎できないタイプである。
◆(@)は、同じことを繰り返し続けることのできる忍耐力がある人が多いような気がする。また、仕事の内容のレパートリーが少ないような気がする。
◆(A-1-1)は、仕事のレパートリーを減らして、同じことを何回も反復するしか研修効果をあげることはできない。研修期間も相対的に長く必要だ。
◆(A-1-2)は、モチベーションが空回りしているタイプで、本当の自分を理解していないことが多い。目的もなく資格を取ることに夢中になったり、要は人に認めてもらいたい要求が強く、それが満たされていない状態の人間である。このようなタイプの研修生は、常に「青い鳥」を求めて、「根無し草」的に彷徨う傾向が強い。わたしから言わせれば、青い鳥なんてはじめからいない。白い鳥を捕まえて青くペンキをスプレーして喜ぶくらいの発想の転換が必要だ。もうちょっとわかりやすく言えば、白い鳥とは、「未来」、青いペンキは、「過去のキャリア」である。彷徨い人は年齢を重ねている場合が多い。どうしても農業をしたいのであれば、自分の歩んできた道をもう一度振り返って、使えるスキルや経験など、回り道しなければできなかったことを材料に、自分のスタイルの農業を創造すべきである。
◆(A-2)は、理想のタイプである。自分で考え、人の話も取り入れ、そしてどんな単調な仕事の中でも現場で「気づく」ことができれば、農業をするしないに関わらず、将来かなり有望なタイプである。