Jagrons 農業技術を追求しおいしさと健康と文化を創造する


農作業アナライズ(5)2013.10.11・・・ジャグロンズの地力増進技術、叢生苅込法

●ジャグロンズの農業では、闇雲に圃場を耕起しない。畑の地力が低下すると考えるからである。
●少し草が生えるとすぐ耕耘する習慣は、雑草を生やさないために昔から農家で行われている標準的な土地管理方法である。ジャグロンズの本社農場がある浄土寺地区は、畑地帯。地主さんから借りた土地も、これまでは、頻繁にトラクタによる耕耘が行われていた。
●砂質土壌である浄土寺地区の土は、排水性に優れる反面、保水性が小さい。また、頻繁に耕耘される土地は有機物が少ないため畑作物にとってベストの状態とはいえない。
●そこで今年の夏から複数の地主さんに説明して、独自の圃場管理を実践した、それがジャグロンズの地力増進技術である、「叢生苅込法」である。これは、作物を植え付ける前以外(作物栽培中以外)には、土地を耕耘せずに、草を生やして地力の低下を防止し、光合成でできた炭素化合物を含む有機物を、本来自然の中で行われているように、土壌中に還元することで、適度な保水力を土に与え、陽イオン交換容量(CEC)の高い土に改善することを目的としている。
●具体的方法は、その土地に生える草(または、イネ科牧草)を20〜30pくらいまで生やして、ハンマーモア(トラクタに装着する草刈り機の一種で、茎葉を小さく粉砕する作業機である)で地上部を5p程度残して、苅込む方法で、粉砕した地上部は緑肥として土地に還元する。地表面に残された草は、根と生長点が残されているため、早い場合は10日程度で、地表面を緑色に覆う。何度も何度もこの作業を繰り返すことで土中の有機物を高めていくことができる。
●また、地力の低い土地では、地力の高い土地と草の本数は同じでも、草のボリュームや葉色が異なる。地力の違いが、視覚的に判断できるバイオアッセイ的地力評価法なのである。
●これまでの、化学的土壌診断法では、作物の生育や品質への直接的影響を予備知識無く判断する事は難しかった。たとえば、@土壌中の窒素成分を把握できたとしても、土壌中の燐酸が効率的に作物に吸収されなければ、作物は土壌中の窒素を効率よく吸収することができない。燐酸の吸収には、土壌中のpHが大きく影響する事にも配慮しなければならない。Aまた、野菜作で頻繁に見られる「キャベツのチップバーン」や「トマトの尻ぐされ」を引き起こすカルシウム(Ca)欠乏症や、葉菜類の「脈間クロロシス」を引き起こすマグネシウム(Mg)欠乏症では、植物体中のCaやMgといったミネラルが欠乏しているものの必ずしも土壌中のそれが欠乏しているわけではない。私の、アグロノミストとしてのこれまでの経験では、日本国内では、それらの症状を引き起こす直接の原因は、Ca欠乏に対しては土壌中の窒素成分、Mg欠乏に対してはカリウム成分がそれぞれ過剰であることによって引き起こされる拮抗作用による場合がほとんどである。
●ここまで、読み進めてこられ、80%以上理解できた、そこのあなた!!あなたは、ジャグロンズのアグロノミスト候補生にふさわしい力を持ってる。今回の記事は、業界専門雑誌の記者さん以外、新聞記者さんや、一般雑誌の記者さんでも理解できない内容が多いはず。農学部でまじめに学問を修得した人(卒業証書を持っているだけでは無理)でなければ、少なくても解らない用語が5つくらいはあるはずだ。
●以上、今回は、かなり専門的な記事となった。技術で日本の農業を元気にしたいと思う方は、私の今回のブログについて、頑張って専門用語を調べて理解を深めてほしい。

■トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.jagrons.com/mt/mt-tb.cgi/1390

■コメントを投稿

(初めてコメントしたいただいた際は、コメントを表示する前に確認作業をしております。その際はしばらくお待ちください。)







■About

2013年10月11日 21:15に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「福岡の徳安さん」です。

次の投稿は「農作業アナライズ(6)2013.10.12・・・ハンマーモアによる表層苅込作業(ジャグロンズレコード)」です。

 

Powered by
Movable Type 3.34