●「彼は研究者ではない農家だ!!」平成6年10月、農林水産省入省後の6ヶ月研修を終えて配属になった、野菜・茶業試験場生理生態部作型開発研究室。そこで1年ほど研究の仕事に従事していたとき、他の部に所属する先輩が、フランス人の研究者(留学者)に僕のことを紹介したときの一言である。
●当時、私は、農業振興のためには、国の研究機関でも生産現場に直接役立つ仕事をする必要があるとの気運が高まる中、地域先導技術総合研究(地域総合研究)という生産現場を舞台とした研究の担当を命じられていた。それまでの、国の研究機関は、公立研究機関等との仕分けの観点からも、現場に出向くことは、少なかったが、私の仕事は、地域のキャベツ生産者の畑にせっせと足を運んで、現場の情報や問題点をすいあげて、それを解決していくというスタイルのものであった。試験場内にも常時自分が管理する30a程度のキャベツを栽培していたように記憶している。
●現在、三重と秋田の農場を使い分けて、周年で野菜を生産しお客様に供給する「生産小売り事業」に取り組んでいる私は、名実共に「農家」である。であるが・・・・しかし、私は、客観的に成功する農家(生産者)にはならない(なれない)ような気がする。私は、農作物を作ることも好きだが、それを直接お客様に届けることも同じくらい好きである。本当にお客様に喜ばれるものを作りたいし、そのためなら「ペン」の力を使うこともいとわない、、お客様の笑顔を見るためにならばどんな手段も使っていく覚悟である。いつか、「彼は農家なんかじゃないとか、農家として認めない!!」なんて声が聞こえてきたら、それは私にとって最高のほめ言葉である。
●私は「農」の一文字にすべてを託して、仲間と一緒にあるべき方法に進んでゆきたい。