●水稲の苗は、稚苗(2.5葉期)、中苗(3.5葉期)、成苗(5.0葉期)の3つの生育ステージで植えるスタイルが知られている。播種量は目的とする苗によって異なり、1箱(0.18m2)あたりの乾もみの播種量は前者から順に200g、150g、100gが適当とされている。暖地の米づくりでは、2.5葉期の稚苗苗を使うことが多く、冷涼な地域になるほど大きい苗を使うことが多い。
●山形では珍しく、やませの影響を受ける最上町。そこで「への字型」施肥により施肥利用効率の高い米づくりを実践している二戸氏の育苗方法はユニークである。播種量を100g/1トレイとしながらも、成苗としては少し小さめの、大きな中苗を用いる。これは、徒長苗でない、老化苗でもない草丈のある活着しやすい苗を作る工夫である。
●この苗を、本圃に植える際は坪(3.3m2)当たり50株(育苗箱18枚)とやや粗植気味に植える。(密植栽培は60株、粗植栽培は37株といわれている。)冷害を受けやすい最上町で、株数を確保しながらも大きめで健全な苗を用い、深水管理による冷害回避と適度な粗植条件での合理的稲作を実践する。その際の栽培管理のさじ加減が絶妙に上手なのが二戸流稲作技術、プロの技である。